ヌーノ・別天地構想

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【ネタバレ感想】屍人荘の殺人

『屍人荘の殺人』観ました。

 

ワトソン(神木龍之介)とホームズは浜辺美波と共に、”今年も生贄が出る”という怪文書が届いた軽音楽部の合宿へと望む。その合宿では紫湛荘という場所で行われ、去年は一人行方不明者が出ているという。ワトソンとホームズはこの荘で、起こる事件を解決することができるのか。

 

この映画は、簡単にいうと、推理×ゾンビの映画である。合宿中で訪れた音楽フェスでなぜか、いきなりゾンビウイルスが撒かれ、ゾンビが大量発生する。劇中でテロ?か何かと説明されていたような気がするが、このあたりの描写はかなり適当である。製作者もそのあたりは、納得させなくてもいいやと思ったのかもしれない。

 

そして、ゾンビが発生したために、紫湛荘に逃げ帰ろうとするが、ホームズが紫湛荘に入る直前でゾンビの群れに飲み込まれてしまう。かなり序盤で主要人物がいなくなってしまったため、この展開には驚きだった。そして、ホームズは密かに生き延びて、事件のことを調査しているのだろうとなんとなく思っていた。

 

そして、この荘で殺人事件3つ起こる。ゾンビに殺されたのか、人に殺されたのかよくわからない死体が3つ。1つの事件はゾンビによって殺された事故だった。そして犯人は、このゾンビが蔓延した状態を利用して、殺人を2つ犯した。犯人は死んだ二人を殺す前にゾンビの状態にさせていた。わざわざ殺す前にゾンビにしたのは、復讐のために2度殺すことができるから。たまたま出現したゾンビというギミックを利用して、2度の復讐を果たした。

 

ゾンビは政府によって駆逐され、ホームズと再会を分かち合うはずだった。しかし、再開を果たしたホームズはやはりゾンビのままだった。というオチ。

 

後半の推理はテンポがよくてなかなか好きだが、犯人がすぐにわかってしまう点と、どこが伏線かあからさまに示しすぎ、など残念な部分は多い。ゾンビを登場させることで、荘の外に簡単に出られないようにし、さらにゾンビを殺人のトリックと、犯人の動機づけに利用している。ミステリー映画なのに、ゾンビが出ているせいなのか、なぜか納得感がない。そして、ホームズはやはりゾンビのままであり、ホームズの見せ場はなく不完全燃焼で終わる。

 

神木くんのときにヘタれで可愛い存在であり、ときに頼もしくかっこいい演技は流石。彼がこの映画の空気を成り立たせている。そして、ヒロイン浜辺美波。何をするにもかわいい。恰好がそもそもかわいいし、推理させてもよし、変な顔させてもよし、武器を持たせてもいい。浜辺美波は賭ケグルイしかり、変わり者の役が映える気がする。

 

 

 

【ネタバレ感想】ドラゴン・タトゥーの女

ドラゴン・タトゥーの女

 

デビット・フィンチャー監督。2012年。

 

どす黒いタールに似たものが絡みつくイメージ映像からなるオープニング。このオープニングを観た瞬間から、この映画によって人間の闇を見せつけられる予感がした。フィンチャー監督はセブン然り、オープニングから見せてつけてくるものがある。

 

とある裁判係争中の新聞記者ミカエルにスウェーデンの大実業家ヘンリック・ヴァンゲルから調査の依頼が舞い込む。過去のある日に、ヘンリックの姪、ハリエットが突如行方不明になった。大一族ヴァンゲル家の謎、その真相を暴いてほしいと頼まれる。そのために、協力することになったのはリスベット。全身黒ずくめで、鼻までピアスを開けた、手段を選ばない天才ハッカー。この二人が手を組んで、事件の全貌を明らかにしていく。

 

まず、ヴァンゲル家の一族の人数が多すぎて、把握しきれなかった。わざと把握しきれなくしている風にも感じた。そして、肝心の事件が真相にあっさり辿りついてしまった印象がある。それも、リスベットの天才的な調査能力が物語のテンポを生んでいるのかも。そして、その事件の真相が明らかになった後が少し蛇足のように感じられた。聖書の引用などの件は、自分の大好物で面白かった。

 

ハリエットは父親から性的暴行を受けていた。ハリエットはその父親を殺害したが、兄に目撃されてしまった。その結果、兄にも性的暴行を受けるようになった。だから、ハリエットはイギリスへと脱出し、別の親戚の名前を借りて生活を歩んでいた。ハリエットとヴェンゲルは再開を果たす。

 

この映画は、男性の優位社会や、性的暴行などテーマを重く描いている。その罪を犯した人間が、リスベットというダークなヒロインの手を借りて、徹底的に痛めつけられ、糾弾されている。映画全体を通じて暗い印象を受けた。

 

ひとつ疑問に思ったのは、何でもできてしまうリスベットがどうして、保護後見人をつけてもらう必要があるのかだ。お金やその他の問題も、どうとでもできそうだと思った。また、どうしてリスベットとクレイグは恋愛関係になったのかも、明確には描かれていない。リスベットのひたむきな思いにも、振り向いてもらえず、1人バイクを走らせる姿が寂しげに見えた。

 

 

ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版)

ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

【ネタバレ感想】パラサイト 半地下の家族

パラサイト 半地下の家族観ました。

役名はほとんど忘れてしまいました。ごめんなさい。

 

ボン・ジュノ監督。

 

韓国の半地下に住んでいる極貧の4人家族。世間は警備員の職に、大卒が500人応募するくらいの大不況だという。wi-fiは他人の家のものを勝手に使用し、食うものにも困っていて、ピザの箱を組み立てる内職で暮らしている。あるとき大学生の友達の紹介で、富豪の家で長男が英語の家庭教師の仕事をすることになる。その後、極貧家族は策略を練り、姉は美術の家庭教師、父は運転手、母は家政婦として富豪の家で働き始め、寄生生活を始める。しかし、その生活も次第にほころび始め、ある事件が起きる。

 

 

この映画は、笑いと不安が同時に映し出される点が特異である。最初は、極貧家族が富豪の家に寄生していくのを、面白可笑しく見ていた。練った計画を実行する場面では、ここぞとばかりに高尚で派手な音楽を鳴らしていた。そして、後半になるにつれて、次第に観ている側としても罪悪感を感じ始めた。極めつけは、極貧家族が豪邸でくつろいでいるところに、富豪家族が帰ってきてしまう場面。極貧家族はテーブルの下にすぐに隠れ緊迫した状況になっているのに、富豪夫妻はテーブル前のソファでエッチを始めてしまう。ここでも、2つの家族の状況の差があまりにもはっきりと表れてしまっている。

 

この作品は韓国における、格差をストレートかつ風刺的に描いている。そもそも、富豪の家は少し、坂を上っていった住宅地にある。それに対して、極貧家族は地面に対して半分地下。富豪家族は綺麗な水のボトルを飲んでいるが、極貧家族の家は汚い下水にまみれていく。富豪家族の社長は、極貧家族の匂いがなんとも言えない匂いだという。富豪家族は、自分たちで気づかぬ間に極貧家族との違いを示してしまっている。そして、極貧家族の長男は薄々感づいていた、自分はこの生活がふさわしくないんだと。

 

最後に、長男はお金持ちになって、あの豪邸を買って、父親に階段を上らせると誓う。しかし、皮肉にもあの事件の前に、父の残した言葉は、''無計画だ。計画通りにはいかないから'' だった。