【ネタバレ感想】ドラゴン・タトゥーの女
ドラゴン・タトゥーの女
デビット・フィンチャー監督。2012年。
どす黒いタールに似たものが絡みつくイメージ映像からなるオープニング。このオープニングを観た瞬間から、この映画によって人間の闇を見せつけられる予感がした。フィンチャー監督はセブン然り、オープニングから見せてつけてくるものがある。
とある裁判係争中の新聞記者ミカエルにスウェーデンの大実業家ヘンリック・ヴァンゲルから調査の依頼が舞い込む。過去のある日に、ヘンリックの姪、ハリエットが突如行方不明になった。大一族ヴァンゲル家の謎、その真相を暴いてほしいと頼まれる。そのために、協力することになったのはリスベット。全身黒ずくめで、鼻までピアスを開けた、手段を選ばない天才ハッカー。この二人が手を組んで、事件の全貌を明らかにしていく。
まず、ヴァンゲル家の一族の人数が多すぎて、把握しきれなかった。わざと把握しきれなくしている風にも感じた。そして、肝心の事件が真相にあっさり辿りついてしまった印象がある。それも、リスベットの天才的な調査能力が物語のテンポを生んでいるのかも。そして、その事件の真相が明らかになった後が少し蛇足のように感じられた。聖書の引用などの件は、自分の大好物で面白かった。
ハリエットは父親から性的暴行を受けていた。ハリエットはその父親を殺害したが、兄に目撃されてしまった。その結果、兄にも性的暴行を受けるようになった。だから、ハリエットはイギリスへと脱出し、別の親戚の名前を借りて生活を歩んでいた。ハリエットとヴェンゲルは再開を果たす。
この映画は、男性の優位社会や、性的暴行などテーマを重く描いている。その罪を犯した人間が、リスベットというダークなヒロインの手を借りて、徹底的に痛めつけられ、糾弾されている。映画全体を通じて暗い印象を受けた。
ひとつ疑問に思ったのは、何でもできてしまうリスベットがどうして、保護後見人をつけてもらう必要があるのかだ。お金やその他の問題も、どうとでもできそうだと思った。また、どうしてリスベットとクレイグは恋愛関係になったのかも、明確には描かれていない。リスベットのひたむきな思いにも、振り向いてもらえず、1人バイクを走らせる姿が寂しげに見えた。