統合失調症の母(3)
2017/9/23
母親の病院が少し遠くに移った。
1週間ぶりに会いにいく。
数日前に、移った病院のほうから電話がかかってきた。
どうやら母がナースコールしたらしい。
母がお父さんや姉を呼んでほしいと言っていたそうだ。
病院が移ってから、また不安定な時期に入ってしまったみたいだ。
本当に可哀そうに思えてくる。
移った病院では全身麻酔をかけて、脳に通電させる治療をやるという。
なんだか無理やりな治療法に思えるが、効果はあるのだろうか。
実際に会ってみると、朝の10時30分くらいと遅い時間であったのに、
まだベッドに横になっていた。
かなり痩せたように見える。
ご飯をあまり食べないので、いまだ点滴が続いてるらしい。
母は相当、体力が弱っているみたいだ。
手伝ってもらって着替えるのがやっとのことだった。
前後することはあるが、3か月くらいで退院できると聞く。
急がなくていいから、ゆっくりと治してほしい。
昔は、私も漠然と生きてきたが、
母がこの状態になってからは、しっかしなければならない。
今はただ生きてさえいればいいのだ。
統合失調症の母(2)
17/9/17
母に会うのは2週間ぶりだ。
統合失調症と診断されてからちょうど1月くらいだ。
保護室を出て、他の人と共同の部屋になった。
ご飯をあまり食べないので、胃と肝臓?が悪いらしい。
なので、精神科と内科の両方を診てもらえる病院に
移ることが決まった。
実際、会ってみるとまあまあ元気そうではあった。
表情も取り戻しつつある。
しかし、母は点滴をしている状態だった。
母は他愛のないことをしゃべっていたが、やはり元気はなかった。
好きだったテレビ番組がちょうど談話室に流れていたが、
まったく関心がないようだった。
私は、母がまた何か物騒なことを言い出すのではないかと
内心、不安に思っていた。
薬が効いていたのだろうか、
そういったことは口にしなかった。
1か月もすれば、妄想も強迫観念も忘れれるのだろうか。
統合失調症の人はおそらく、
現実と虚構の区別がつかなくなってしまうのだ。
実際、現実と虚構を区別する具体的な方法など存在しない...
それに、引っ張られるように私も、
母が統合失調症になったことが本当に
現実のことなのか不安になる。
不安定な時期が終わってほしいと切に願う。
統合失調症の母(1)
2017/9/03
母親が統合失調症で入院したのは、ちょうど3週間前くらいのことだ。
病は急に訪れる。
統合失調症とは簡単にいうと、精神が分裂してしまう病だ。
もっと前から発症していたのかもしれない、
しかし家族というものは、自分の家族のことは意外と気づかないものらしい。
精神病院の受付は、ずらりと並んでいるとよく耳にするが、
そんなことはない。
受付を済ますと、廊下を通過し、ナースステーションへと向かう。
ナースステーションを通過しなければ、病棟に入ることはできない。
私たち家族は「保護室」に案内された。
「保護室」とは名ばかりで、簡単な独房みたいなものだ。
壁と鉄格子に囲まれていて、そこには本当にトイレと布団しかない。
トイレットペーパーもほんのちょっとしかない。
実際、症状が落ち着くまで、
そういった場所に入れておく他ないのだろう。
母親の状態は、1週間前よりは表情がある感じで、
少し元気そうに見えた。
しかし、いまだ依然として、
被害妄想や自殺願望が言葉の端々から感じられる。
早く保護室を出て欲しい。
あの病院に行くと、悲しくなるというか、
健常者のほうが滅入ってしまう。
病院に出るとき、いつも微かながら思う。
「これから絶対に生き抜いてやると。」