統合失調症の母(1)
2017/9/03
母親が統合失調症で入院したのは、ちょうど3週間前くらいのことだ。
病は急に訪れる。
統合失調症とは簡単にいうと、精神が分裂してしまう病だ。
もっと前から発症していたのかもしれない、
しかし家族というものは、自分の家族のことは意外と気づかないものらしい。
精神病院の受付は、ずらりと並んでいるとよく耳にするが、
そんなことはない。
受付を済ますと、廊下を通過し、ナースステーションへと向かう。
ナースステーションを通過しなければ、病棟に入ることはできない。
私たち家族は「保護室」に案内された。
「保護室」とは名ばかりで、簡単な独房みたいなものだ。
壁と鉄格子に囲まれていて、そこには本当にトイレと布団しかない。
トイレットペーパーもほんのちょっとしかない。
実際、症状が落ち着くまで、
そういった場所に入れておく他ないのだろう。
母親の状態は、1週間前よりは表情がある感じで、
少し元気そうに見えた。
しかし、いまだ依然として、
被害妄想や自殺願望が言葉の端々から感じられる。
早く保護室を出て欲しい。
あの病院に行くと、悲しくなるというか、
健常者のほうが滅入ってしまう。
病院に出るとき、いつも微かながら思う。
「これから絶対に生き抜いてやると。」