マラソン選手は100mを平均何秒ペースで走るのか -世界記録からみる陸上競技-
9月9日に桐生選手が100m走で9.98の日本記録を出しましたね!
桐生選手が高校3年生で10.01を出してから、
自己ベストの更新に4年かかったそうな。
私も中学、高校と陸上競技をしていたので、その気持ちはよくわかります。
自己ベストを出すのがどれだけ難しいことか。
常に自分と戦っているようなプレッシャーありますよね。
最近よく思うことなのですが、
テレビなどのメディアの人は100m走に注目しすぎだと思います。
確かに、一番派手でタイム的に速い競技なので魅力があるのは確かです。
でも、他にも魅力がある競技はたくさん存在します。
リオオリンピックでは400m走で、
バンニーキルクという人が世界新記録を出していたのに、
テレビではボルトの話題ばかりに触れていました。
世界新記録が更新されているのに、そのことの取り上げないメディアには嫌気がさしました。
私は100m走以外の競技の素晴らしさをわかってもらいたいのです!
特に中長距離種目!
中長距離種目の人の体力ははっきりいって尋常じゃない。
怪物たちの世界です。その凄さをお伝えしたい。
どうすれば凄さを伝えやすいか考えた結果、
男子陸上世界記録において
100mどのくらいのペースで走ってるのか、
換算してみるのがよいと考えました。
男子陸上世界記録の100m換算ペース
まずは、主要な競技の男子世界記録からご覧ください。
競技名 | 記録 | 100m換算 | 名前 | 国籍 | 日付 | 場所 |
100m | 9.58 | 9.58 | U.ボルト | ジャマイカ | 2009.8.16 | ベルリン |
200m | 19.19 | 9.60 | U.ボルト | ジャマイカ | 2009.8.20 | ベルリン |
400m | 43.03 | 10.76 | W.ファン・ニーケアク | 南アフリカ | 2016.8.14 | リオデジャネイロ |
800m | 1.40.91 | 12.61 | D.ルディシャ | ケニア | 2012.8. 9 | ロンドン |
1500m | 3.26.00 | 13.73 | H.エル・ゲルージ | モロッコ | 1998.7.14 | ローマ |
3000m | 7.20.67 | 14.69 | ダニエル・コーメン | ケニア | 1996.9.1 | リエーティ |
5000m | 12.37.35 | 15.15 | K.ベケレ | エチオピア | 2004.5.31 | ヘンゲロ |
10000m | 26.17.53 | 15.78 | K.ベケレ | エチオピア | 2005.8.26 | ブリュッセル |
ハーフマラソン | 58.23. | 16.60 | ゼルセナイ・タデッセ | エリトリア | 2010.3.21 | リスボン |
マラソン | 2.02.57. | 17.48 | デニス・キプルト・キメット | ケニア | 2014.9.28 | ベルリン |
ちなみに日本の男子高校生の100m走の平均は、14.00くらいらしいです。(正確なデータかはわからない)
表の太字の部分が、各競技を100mあたりのタイムに換算したものです。
特に着目すべきは800、1500m走の100mあたりのペースは14.00を切っています。
男子高校生の平均が14.00らしいなので、
つまり、この人たちは
私たちが100m全力で走っても追いつかないのに、
さらにその何倍もの距離を走れるわけです!!
恐ろしいでしょう!!!
マラソンの100mペース
もう少し深く、考察してみましょう。
これは競技距離と100m換算ペースの関係です。
この曲線美しくないですか。
それぞれの競技について解説していきますね。
100m走と200m走は、100mあたり9.58と9.60なのでさほど100mあたりのタイムは変わらないようですね。
400m走はぐっと落ちて100mあたり10.76です。400mを全力で走りきることはできません。それでも恐ろしいですが。
800m走の100mあたりのタイムは12.61ですね。800m走からが中長距離と言われる競技になり、400m走と比べるとスピード感は落ちてきます。
ここからグラフの曲線の傾きが緩やかになっていきます。
ちなみに1500m走の100mあたりのタイムは13.73なので、
まだ男子高校生の100m全力平均タイムより早いです(笑)
5000mから10000mと距離は2倍になっているのに、
100mあたりのタイムは15.15と15.78なので1秒も変わりません。
凄くないですか。距離は2
ハーフマラソンからマラソンに至っては、21kmから42kmに伸びているのに
これまた100mあたりのタイムは1秒ほどしか変わらない。
よくわかんないでしょ。なんでそんなペースで走れるん?
人間の神秘だと思いませんか。
要するに中長距離選手の凄みは、
競技距離が長くなるのに対して、
100mあたりのタイムがあまり落ちないことなんです。
逆に言えば、400mから5000mくらいまでの競技は
スピードと持久力のバランスが求められる面白い競技なんですよ!
ってことを伝えたい。
陸上競技は人間の身体能力の限界に挑む、まさに究極のスポーツ。
是非、100m走以外の競技にも興味を持ってもらいたいと思います。
参考記録
ちなみに、測定されることの少ない世界記録もグラフにのっけてみました。
やはり、オリンピック種目にない測定する機会の少ないような種目は、
グラフの曲線上から大きく上にはずれています。
もし世界記録を狙っている人がいるなら、
(猫ひろしさんとか)、
トラックで行う25000mなんて世界記録を出せそうな競技だと思いますよ!
以上、世界記録を100mあたりのペースで換算してみたでした。
機会があれば女子バージョンもつくってみます。