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理系必読の一冊『理科系の作文技術』まとめ

 

 

木下是雄著の『理科系の作文技術』の内容を簡単にまとめました。

 

 1.書物の目標

理科系の仕事の文書の特徴

読者に伝えるべき内容 ・事実    ・意見のみ 

心情的描写は書かない

必要なことは洩れなく 

実験誤差の範囲内で追試できるよう 必要でないことは1つも書かない

事実と意見の区別

明快・簡潔な文章

① ほかの意味にとられないか

② ぼかした表現(といったふうな、思われる、ぐらいに、ではないか)

③ 普通の用語、短い文

 

2. 準備作業(立案)

2.2 書こうとする文書の役割の確認

原著論文であれば、自分の完成したオリジナルな研究、技術、装置をひろく 学会に公表するもの

 

2.3 主題の選定
2.3.3長さの選定

文章の長さの制限によって主題を選定する。

 

2.3.4 読者の想定

実験レポートの主題は、どんな実験をしたか(内容、結果、考察)

 

2.3.5 なまの情報

オリジナリティという面では、 自分自身が直接ことに当たりものに当たって得たなまの情報 自分自身の考えに重きをおくべき

 

2.4 目標規定文

主題に関して、あることの主張や否定の意思を明示する文 初心者は目標規定文を書き、その目標に収束するように文章を構想を練る

 

3.文章の組み立て

3.1記述の順序
3.1.1起承転結

問題、背景、方法、結果→残された問題点の吟味→結論

 

3.1.2重点先行主義

まとめの内容を著者抄録へ書く 読んでもらうかは表題次第

 

3.1.3新聞記事

新聞記事はリード文だけで完全に要点をカヴァーしている(5W1H)

 

3.2序論

理科系の仕事の文書の読者→研究分野なら読まねばならない。

① 読者が本論を読むべきか否かを敏速、的確に判断できるような情報を示す。

② 本論にかかる前の予備知識を提供 ・本論の主題 ・問題を取り上げた動機 ・問題の重要性 ・問題の背景はどんなもの ・どういう手段でその問題に攻める

※技術報告の場合、著者抄録に結論の要旨を書き、本論で結論を繰り返さない場合もある。

 

3.3 結び

①本論の主なポイントを簡明に列挙

③ それらの重要性と将来への展望を示唆△

 

3.4本論の叙述の順序
3.4.1概観から細部へ

装置、実験法、地形、事件を記述・説明する文章では、「概観から細部へ」

例)装置のポイント→具体的な説明

 

3.4.2 細部の記述の順序

書くべき中身を機能別や性質別に分類 空間的、時間的配列

3.4.3 論理展開の順序

・論文は結論に至るまでの最も簡明な道に沿って書く。

・理論の基礎にある仮定を浮き立たせて書く。

 

3.5 文章の構成案のつくり方 構成表を書く 

必要な項目を落とさないように

 

4. パラグラフ

内容的に連結された文の集まり 何を述べているか、一口に概論的に述べた文が含まれる:トピックセンテンス

4.3 トピックセンテンス

英語は主語と述語が先頭に来る、日本語は述語が文末なので 日本語はトピックセンテンスを第1文に持ってきづらい

パラグラフにトピックセンテンスを書くよう心掛ける。

 

4.4 展開部

主張のパラグラフは、展開部に十分な材料を準備しておかなければ強くならない。

 

5. 文の構造と文章の流れ

5.2 文の構造-逆茂木型の文

① 一つの文には二つ以上の長い前置修飾節を書かない

② 修飾節の中に修飾節を書かない

③ 文、または節はなるべく、前とのつながりを浮きだたせる言葉から書く

論文は読者に向けて書くもの 話の筋道から脱線しないように心掛ける

 

6. はっきり言い切る姿勢

6.2 明言を避けたがる心理

他の可能性もあるのにそれを考慮せずに、断定的に述べることに抵抗感

 

6.4 はっきり言い切るための心得 と思われる、と考えられる 

自発または可能の助動詞 自分は・・・と思う ・・・と考えられる

 

7. 事実と意見

7.3 事実の記述 意見の記述

(a)その事実に関して書く必要があるのか吟味する

(b)ぼかした表現に逃げず、明確に記述する

(c)事実を記述する文は名詞と動詞で書き、主観に依存する修飾語を含めない

修飾語の絶対多数は主観によってえらばれ、使われるもの すなわち判断を表すものである。

7.4 事実と意見の書きわけ

(a)事実と意見のどちらを書いているのか、両者を明らかにし区別して書く

(b)事実の記述には意見を混同させない

 

8. わかりやすく簡潔な表現

8.1 文は短く

(a)書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる

(b)それらを論理的につないでいく

(c)その分の中の主語を意識して書く

 

8.2 格の正しい文を

格の正しい文とは、ことばどうしの関係がきちんと保たれている文

ことばのつながり方がねじれていたりしない文のこと

 

8.3 まぎれのない文

修飾語を置く位置を修飾すべき語に密接させる

 

8.4 簡潔

必要ぎりぎりの要素を何々と洗い出し、それだけを切り詰めた表現で書く 8.5 読みやすさへの配慮

 

8.5.2 漢語・漢字について

・・・することが不可欠である 当初の予測 ・・・が可能である

・・・する必要がある  はじめの予測 ・・・ができる のほうがよい

 

8.5.3 受け身の文

受け身の文は少ない方がいい。主体が<私>で書くことを推奨する。

 

8.5. 並記の方法

長い文はいくつかの短文に分割する番号(a),(b)のように

 

8.6 文章の中の区切り記号

ピリオド(.)→句点(。)

コンマ(,)→読点(、) 

セミコロン(;)→コンマよりも強く区切るときに用いる 方程式を書いた後で、式のなかの記号を説明するときなどに便利。

コロン(:)→文中の強い区切りとして、続いて書くことがそれまでに書くことの   詳細、要約、説明であることを示す。

なかてん(・)→並列、並列連結を表す。

ダッシ(-)→形式ばる必要がないときに、コロンやかっこの代わりに使われる

カッコ→{[( )]}の順

 

8.7 私流儀の書き方
8.7.1 漢字の使い方

字面の白さに気をつける。ふたたび→再び、覚える→おぼえる 

など ときと場合によって使い分ける。

 

8.7.2 文末の述語

文末の述語はいつも同じにしない。

 

9. 執筆

9.1 日付

人の目に触れぬメモやノートの類でも、最初に年月日を書いた方がいい。

1981-09-25など、年を入れることが大切

 

9.2 辞書

少しでも疑問に思った単語は辞書で調べる

 

9.3.2 量記号

数及び量を表す文字記号には斜体を用いる

 

9.4 文献引用

他人の報告、データなどを引用するときに出所をしめす。

(1) 番号方式:田中3)によれば、田中〔3〕によれば 同じ文献を何回も引用する場合は同じ番号をつける。

(2) ハーヴァード方式:田中(1980)によれば 著者名と発表年をしるし文章の最後に各文献の書誌要素をならべる。