統合失調症の母(5)
17/10/08
母親が統合失調症と診断されてから、ちょうど2か月くらいだ。
日曜になると、父親の運転で高速道路に乗って、
母親のお見舞いに行く。
今日は、バナナと栗を剥いて持って行くことにした。
日曜の病院は診察がないので、
静かで人があまりいない。
精神病棟は固く閉ざされていて、
ナースステーションのインターホンを
押さなければ中には入れない。
2枚の扉を抜けて、病室に向かう。
今日は少し精神病棟は騒がしくて、
看護婦さんを呼ぶ声が大きく廊下に響いている。
1時半にお見舞いにいったのだが、母は寝ていた。
私たちに気づいたのか起き上がった。
前よりも少し症状が、少し悪くなったのだろうか、
最初のうちは、僕と姉のことが誰だかわからないと言っていた。
母は持って行った栗を全部たいらげた。
ちょうど栗が食べたかったんだよねと言っていた。
どうやら、差し入れで持って行った雑誌にケーキの特集が載っていて、
そこで、モンブランのケーキを見たらしい。
今度はモンブランを買っていこう。
なんでもいいから食べたほうがいい。
看護婦さんは母は昼を食べていないと言っていた。
看護婦さんはボソッと
「院内食はおいしくないからかな。」と呟いていた。
統合失調症になってから、母はご飯を食べなくなった。
行動も機敏さが失われ、スローになった。
着替えるのも手伝ってもらってやっとだ。
母親の髪の毛の白髪が目立ってきていた。
髪を染めていられないから、仕方ないのだが。
今年も冬が訪れようとしている。
去年の冬とは、全く違う冬のような気がして、
不安に思う。