ヌーノ・別天地構想

君が泣くまで考えるのをやめない。つもり

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殺さない彼と死なない彼女

殺さない彼と、死なない彼女観ました。

 

すべての眠れぬ夜に捧ぐ。

 

全部捨てていくと思っていた。あいつを除いて。ゴミ箱に捨てられた蜂を埋めようとしていた。蜂の命は大切にしていたくせに、自分の命はおろそかにしていた。リスカして。この蜂は私なんだよ。誰からも、大切に扱われずに死んでいく。

 

3つのエピソードで展開するこの映画。小坂と鹿野、撫子と八千代、キャピ子と地味子。特に好きなのは、撫子と八千代のエピソード。

 

撫子は自分のことに興味のない八千代が好きだった。でも、本当は八千代に振り向いてほしかった。八千代も幾度となく好きと言われるうちに、いつしか八予は撫子のことを待っていた。あの人だったら、どんな反応をするのか想像するのか。それを考えている姿が幸せそうだった。それを観ているこちらも幸せだった。

 

それぞれの登場人物が、現実での振る舞いと、内面の声が乖離している。現実がこうだったらいいのに、こうなれば幸せなのになんて、思うことはたくさんあれど、意外と幸せは近くに存在している。キャピ子がどんなに好きな人に振り向いてもらえまいと、地味子はいつもそばにいて支えてくれる。そんな幸せも、急になくなってしまうことだってある。

 

だからこそ、自分の声を大切にして、生きなければならない。

 

台詞が独特で、疑問文に疑問文で返して会話してるのが、どこか面白かった。ソフトなフォーカスで、人物ばかりにピントがあっていて、ポカポカした空気な映画だった。

殺すとか死ねとか物騒な言葉ばかり言うけど、それはなんだかんだ愛のある関係だった。

 

恋愛映画の一つの新しい形を示している。