ヌーノ・別天地構想

君が泣くまで考えるのをやめない。つもり

MENU

スポンサーリンク

ラストレター 【ネタバレ感想】

ラストレター観ました。

 

岩井俊二監督。音楽小林武史。

 

物語は未咲の葬式から始まる。優秀だと言われていた未咲の死。亡くなった姉の遠野美咲のふりをして、同窓会に参加した妹の裕里(松たか子)。そこで、高校時代の生物部でともに過ごしていた、乙坂鏡史郎(福山雅治)と再会する。姉の未咲が亡くなったことを言い出せず、結局、未咲のふりをして、美咲の死んだことを知らない乙坂と文通を始めることになる.しかし,乙坂が手紙を送っていた住所は、実は未咲の実家であり,美咲の娘である鮎美(広瀬すず)と裕里の娘である楓香(森七菜)と文通をすることに。

 

映画では最初のころはスマホを使って、やりとりをしていた場面があったが,庵野秀明に乙坂とのラインを見られて、祐里のスマホが壊されてから、劇中でのやりとりはほとんど手紙になった.

 

手紙は丹精を込めて,その人のことを強く思って書くから,気持ちが伝わる.そして,手紙は,その気持ちを大切に保管しておくことができる.手紙と,宮城県白石市の自然と,河川と、日本家屋と,セミの鳴き声.単純にこの映画が美しくて,果てしなく尊いと思った.この気持ちを表すなら尊いという言葉一番近い.岩井俊二は映画を最大限の尊さで満たす努力をしている。

 

未咲は、阿藤陽市(豊川悦治)による暴力によって、精神を病み、かつ病弱であったため自殺した。阿藤は乙坂に対して、'お前はあいつの人生になんら影響を与えていない' と告げる。俺たちは何者でもないと。乙坂は一体誰の人生を歩んでいるのか。阿藤がたしかに悪いように見えるけれども,どうしてもそれを責める気にならない。

 

乙坂は、過去の思い出を振り返るべく高校を訪れると、当時の2人と瓜二つの鮎美と楓香に出会う。そして、未咲の家にあげてもらった乙坂は、未咲へと送っていた小説の原稿を未咲が大切に保管していることを知る。未咲が鮎美へと送った遺書に入っていたのは、乙坂が添削した美咲が高校の卒業式で読んだ答辞であった。

 

未咲は乙坂から受け取ったものを確かに、大事にしていた。高校時代、お互いが等しく尊く思っていた場所。困難なことがあったとしても、このときを思い出して、夢へと進んでほしい。そんなメッセージを鮎美へと託した。鮎美、裕里、楓香、乙坂、すべての人が前へと進み出す。

 

回想の未咲役は広瀬すずが演じている.そして未咲の娘も広瀬すず.この役はかならず,広瀬すずでなければならない.そう思える存在自体の麗しさがあった.そして,姉が好きという乙坂を好きになってしまった複雑な立場の森七菜.むじゃきで素直で瑞々しくて、松たか子の演技とシンクロさせる演技の素晴らしさ。広瀬すずと森七菜の今,このときにしか見せることの出来ない瞬間を切り取って映し出している.

 

 

映画「ラストレター」オリジナル・サウンドトラック

映画「ラストレター」オリジナル・サウンドトラック